元旅行会社社員が書く「てるみくらぶ」破産から、今できる事とこれからの対策について
- 投稿日: 2017/03/27
- 更新日: 2018/09/01
どうも、今日は千葉でも朝雪が降ったそうですね、カワウソです。
先週末から大変な騒ぎになっていた、旅行会社「てるみくらぶ」が本日破産宣告をしました。
youtubeで生配信されていた会見の模様も見ました。
かなり大きな額の破産とあって、まだまだ騒動は続きそうですが、元旅行会社社員としての感想と私が知っている限りの今できる事(弁済・賠償)と、これから出来る被害者にならないための対策方法を検討してみたいと思います。
かなり長い内容になりますが、ぜひ一人でも多くの方に読んでいただきたいです。(めんどくさい方は目次からすっ飛んでください)
【速報】てるみくらぶ破産
まずは、タイムリーなニュースとしててるみくらぶが破産をしました。
先週の金曜日?あたりに一気に騒ぎになったと思うのですが、その頃から発券トラブルとか言いつつ「業務停止へ」とか「破産」とか言われていました。
旅行も行かないし、航空券も自分で手配するし、格安の旅行会社なんて目もくれない人は本当に関係ないし、おそらく聞いた事もない会社なのかもしれませんが、業界人や「トラベルコちゃん」「トラベルZOO」でツアーを検索した事がある人や「読売新聞」等の新聞広告で見た方も多いのではないでしょうか?
私でさえも、5月に母とグアムへ旅行しようと計画していた中に入ってました。「てるみくらぶ」が。
でも、現金一括振込だったのと、まだ場所を決めきれていなかったので予約はしていませんでした。
今回は、何の罪もなく巻き込まれた人が気の毒すぎて、自分が仮に巻き込まれていたらと思うと「あー今回予約してなくてよかったわー」なんて言葉が出ないくらい憤りを感じます。
さらに、ツアー申込者や返金対象者への弁済だけでも約99億円になると会見で言っていました。
さらに会見では、ふてぶてしく「破産手続きに入ったから、会社からは何も出来ません」みたいな事も言ってて、本当に「制度を悪用した詐欺じゃないの?」って思いました。
それだと1%くらいしか弁済されないみたいな事がネットでも出ているので、10万円払った人が1000円程度しか戻ってこないという事になると、、、殺意が芽生えますよね。
金の切れ目が縁の切れめ、親子の仲でも金銭は他人とも言われてる中で、旅行するために一生懸命貯めたお金をみんな出したのにって思いますよね。
今回の旅行で自分が被害にあったらと思うと、母にも何と言っていいやらという感じですし、まず、何かしらの制裁を!!と被害者の会を立ち上げる事でしょう!
倒産するであろう旅行会社は見分けられるのか?
今回の騒動の中で、「じゃ、そんな旅行会社で予約するなよ」と言ってる人もいる様ですが、それは自分で旅行プランを計画した事がなく、いつも人任せにしている人か、旅行会社を利用しなくても自分やクレジットカードのコンシェルジュで何でもやってくれちゃう値段を気にしないお金持ちか、新聞をとってなくてインターネットもしないアナログ派な人なんじゃないかと思います。
正直、今はどの会社がいつ潰れてもおかしくないし特に旅行は薄利多売な商売です。原価が高いものですから。
それに、「こんなに色々な比較サイトで出てるし、大丈夫だろう」って信用して予約をしたでしょうし、それを最後まで遂行する事で成り立ってる仕事だと思います。
でも今回の倒産騒動のように、倒産する会社は見分けられるでしょうか?
うーん、元プロから言っても、それは難しいので一般の方はまず出来ないと思います。
企業間だと、専門の会社を使って資産状況やキャッシュフローを調べる事も出来るようですが、そんな事一般の消費者はしないし出来ません。
てるみくらぶの場合、「3月23日までに一括現金振込限定」の格安プラン等を出していた様ですが、それで誰が疑う事ができるでしょうか?
実際に、この会社以外にも「予約後3日以内に全額を振込にて入金」とかのプランはありますし、カード払いが出来ないプランだって未だにあります。
だからこそ、今回のてるみくらぶには「故意」があるんじゃないかって個人的にはどうしても思ってしまいます。
旅行会社って儲かってないの?
先ほど書いた、支払いの方法だけでは一概に倒産フラグではないと思います。
というのも、実は大手の旅行会社であっても利益は数%となったりする事はほとんどです。(商品によって違うけど、多くても20%くらいだろうと思います)
もちろんエアーのチケット、ホテル代、空港〜ホテルの往復送迎代という実際にかかる原価があります。
自分の会社で予約をされていれば、確定した日程表を送付するのに宅配送料がかかり、電話でのやりとりや現地への手配でも通信料金もかかります。
そして、お客さまを対応したり旅行を手配する人件費もかかりますし、働く事務所もタダじゃない。
ましてや、旅行代理店が受付をしてくれた場合には10%程度の手数料も支払わなければいけませんし(自分でツアーを作っていない旅行代理店は、この手数料で経営をしているのです)お客さんが支払いの際に使うクレジットカードで数%のカード利用手数料がかかります。(中でもアメックスは一番手数料が高いので使えない旅行会社はとても多い)
というように色々な雑費があって、やっとの思いで利益を生み出しているのが一般的な旅行会社です。
なので、一部のカードが利用できないとか現金でしか支払いができない!といっても、それはそれだけの格安商品(旅行会社に利益が残らない)だと思います。
で〜も〜だからと言って今回のてるみくらぶは別です。
銀行からの借入、ホテルや航空チケットの支払い、旅行者への弁済を含めると約151億円らしいです。
単純に、「そうなる前にわかったでしょ?引き際!」という感想しかないですね。
お客さんに迷惑がかかる最小限で新規の受付をしなければ、直近の支払いをした人の被害は免れたはずだし、キャンセル料金がかからない人なんで手配すらしてないんだから「催行中止」とかで返金する事も出来たし、たとえ銀行やら闇金やらグループ会社やらでお金を借りてでも、旅行会社は何よりも参加するお客さんのことを考えておかなくてはいけないと思うんです。
少なくとも、てるみくらぶという会社でツアーを企画したり仕入れをしたり、現地添乗員をする人たちはお客さんのことを一生懸命考えて喜んでもらおうとしてきたはず。
それに、他の旅行会社で真面目に誠心誠意やっていても、お客さんから「おたくは大丈夫か?」なんて電話もあるでしょうし、心配してキャンセルも出るでしょうし、ギリギリまでお金を払わない!なんて人も出てきて無駄なストレスをかけられ残業を強いられたり、計画していた旅行も「やめよう」って諦めてしまう人もいるでしょうし、てるみくらぶと関係があった会社ももちろん被害者なわけだから、それこそお金に困って業務が立ちいかないこともあるかもしれないし、空港やホテルの人、現地の旅行会社もみんなが困ります。
今回のように逃げ得みたいになって、被害にあったお客さんは、てるみくらぶの社員は、取引先は納得できるのか?と。
今回巻き込まれた人はどうしたらいい?
弁済業務保証金制度を申請
今回のケースでいうと、破産手続きに入ってしまったので、てるみくらぶという会社は何も出来ないといってますね。
今後は、てるみくらぶが正会員となっている日本旅行業協会(JATA)の「弁済業務保証金制度」今回のことで被害にあった方への弁済処理が進められていきます。
弁済業務保証金制度は旅行会社が万が一倒産したり、業務不履行や停止などで申込者に債務が発生した時に、該当する会社の代わりにJATAが弁済をしてくれる制度です。
旅行会社には第1種〜第3種まで種別がありますので、その種別によって金額が変わりますがてるみくらぶは第1種にあたります(海外旅行も国内旅行も募集型の企画旅行が作れる)
弁済額は1億2000万円ありますが、これは過去の旅行会社の倒産からするととても多い供託金です。
だた、今回は被害がとてつもなく多いので1%くらいしか返金されないのではと言われています。
本当にひどい。この制度ももっとどうにかならないものか。。。
下記にリンクを貼りましたので、被害に遭われた方は読んでから申請をしてください。
この処理には6ヶ月ほどかかると言われていますが、被害者が多いだけにもっとかかるんじゃないかとも思います。
いずれにしても、全額返ってこないお金をひたすら待つのはどんなに辛いことかと、想像するだけで胸が痛みますし、何よりも同じ業界の方も怒ってるんじゃないかって思います。
カード会社へ交渉&抗弁書を送る
こちらは、カード支払いした方ができる措置ですが、カード会社は通常通りだと債権者であるカード所有者から旅行代金を引き落とそうとします。それは、旅行代金に航空券やホテル等の手配がしっかりなされている事を前提にお金を支払ったので、そもそも旅行が欠損していてキャンセルされてしまって行っていない&会社が倒産したのだからこの支払いは無効じゃないか!!!と交渉する余地があります。
早い話が「この代金、どうにかなりませんか?」と交渉できる書面を送る事ができます。
今のところ、各クレジットカード会社は対応がまちまちなので一概に言えませんが、「そもそも抗弁書なんて送れないです。」とか、「すでにお支払いの義務があります!」と言われてしまうかもしれませんが、冷静に事情を説明して「他のカード会社では抗弁書というものが出せるようなので調べてもらえますか」と交渉してみてほしいです。
カード会社でも、色々な人から問い合わせをもらっていて混乱しているかもしれないので、そこは一つ冷静に・・・
それから、ゴールドカード以上の方は何かしらの措置がある可能性は大いにありますので、まずは根気強く電話する&クレジットカードのマイページ等でお知らせが出ていないか確認してください。
これから被害を最小限に食い止めるには?
今回の件は、個人的にとっても気になって色々とSNSやらで情報収集していました。
その中で、極力保険のきく方法というものはあるようでした。
下記で書くのは、一例として旅行会社が主催する募集型企画旅行(ホテル+航空券+送迎や観光がセットになっているもの)の場合です。
全額を一括振込しない
まずは、現金の場合は全額を一括入金にしないということ。(旅行のプランによる)
旅行業では、出発までに全額を支払う義務がありますが、申し込みの時点では全額払う必要はありません。
どの旅行会社にも「旅行業約款」という約束事が書いてある契約時のルールが色々書かれています。
その中に、契約はいつ締結されるか等の他に「旅行代金」についても書かれており、旅行者が契約時に契約書面(Webページ)で見れる様になっています。
例を出すと、JTBは下記のようなページがあります。
ルックJTB・JTBお買得旅・Web専用商品 旅行条件書(海外募集型企画旅行)
ここに「申込金」という欄があると思います。
これは、旅行を申し込んだ時に「旅行に行く意思があるので、この手付金で旅行の手配をしてくださいねー」という意思表示になり、旅行会社はこのお金を持って旅行を手配する義務があります。
例えば、2人合わせて20万円の旅行の場合は「3万円以上旅行代金まで」の申込金が必要です。
なので、出発日まで日に余裕がある場合は3万円でもいいです。強制はできません。
カード払いで、全額一括となっている場合は一度旅行会社へ問い合わせて方法を確かめた方がいいかもしれません。
ショッピング保険が旅行に適用されるクレジットカードで支払う
調べてみたところ、アメックスのゴールドカードは騒動が起きた時からカード会社が弁済をいち早くしてくれたようです。
「ショッピング保険」とは、主にゴールドカード以上の年会費がかかるカードに多くカードで購入した品物の破損・盗難などの損害を補償しれくれるサービスです。
私の持っているアメックスのカードも300万円までの補償がされるそうで、同じカードではないですが昨日(日曜日)問い合わせした人の中が「今回の旅行の場合は、旅行商品の破損」にあたるそうで補償の対象になった方がいるようです。
今は持っていなくても、年会費を払ってでもプロテクション機能のついたクレジットカードを持つことで自分の財産や預貯金を守れるかもしれません。
最後に
私も旅行会社で4年近く働いていて、一生懸命やってきたし、楽しかったです。私は旅行業界で仕事をしたくて、就職する前に旅行の国家資格もとりました。旅行業界にはそんな純粋な旅行好きもたくさんいます。もちろん私も、今でも旅行大好きなので、だからこそこんなことを言いたくないし、こうゆうことが起きて欲しくないけど「旅行をする側も気をつけないといけない」という事だと思います。ネットが普及して、私が当時勤めてきた店舗も店を閉めてしまったけれど、これを期に「ネットでも申し込めるプランだけど、金額も同じだし店舗に行って申し込みしよう」とか「今回は急な出張だから自分で手配しよう」とか「ネット限定で先着100名のプランに申し込みして、安い時期の旅行しよう!」とか色々な検討材料から自分で良い判断をできるようになるといいなと思うし、旅行会社自体も、もっともっと健全な運営体制と、適正な価格競争・販売をしてほしいなと願わずにはいられません。
この話題はきちんと追っていこうと思います!!_φ( ̄ー ̄ )
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