元旅行会社社員が解説!旅行業界のオーバーブッキングはなぜ起こる?
- 投稿日: 2017/04/12
- 更新日: 2018/09/13
お久しぶりになりました、カワウソです。
さて、昨日から話題になっている「ユナイテッド航空(UA)のオーバーブッキングで乗客が引きずり降ろされた」というニュース。
旅行に慣れていない人や、オーバーブッキングにあったことのない人にとっては「けしからん!なんだそれ!」となる騒動だと思います。
実は、私も今まで飛行機のオーバーブッキングにあったことはありません。
ちなみに、今回のケースは「無作為に選ばれた人のはずなのにみんなアジア人だった(アジア人差別?)」とか「該当乗客が暴れた」とか色々な情報がありますが、ユナイテッド航空のCEOが正式に謝罪をしていますし、早くも「ユナイテッド航空非買運動」が広がっているようです。
オーバーブッキングに巻き込まれないための方法は後日書こうと思いますが、今回ははじめて「オーバーブッキング」という言葉を目にした方も分かりやすく「旅行業界でのオーバーブッキングはなぜ起こるのか?」ということを考えてみたいと思います。
よければお付き合いくださいませ!
オーバーブッキングとは何か?
オーバーブッキング=過剰予約という言葉になるのですが、これをwikiでみて見ると、
交通機関におけるオーバーブッキング 航空・鉄道・船舶業界では、 航空機や列車、船舶に実際に乗せることができる数を超える 乗客の予約を受け付けることがある。 これにより、たとえ乗客が乗り遅れたり、実際にやってこなかったりした場合でも、 多くの便を満席に近い状態で運行することができる。
そう、オーバーブッキングとは読んで字の如しなのです。
今回の騒動でオーバーブッキングという言葉を目にした方もいるでしょうが、実は実は昔からよくあることなのです。
実は日常的に起こる旅行業界のオーバーブッキング
旅行業界の場合、実は巻き込まれる人が少ないだけで身の回りでも起こっています。
理由としては、飛行機はなるべく満員で、ホテルはなるべく満室にすることが今の課題になっていて、またそれが存続問題になっているからです。
また、今までの膨大なデータによって飛行機会社側も「予約しても現れない人」「天候の悪化で空港に来れなそうな人」「その日、その地区でイベントがあるかどうか」などの理由で「その日のその便の実際に搭乗する人が100%に至るか否か」というのはある程度予測がつくそうです。
それに基づいて航空会社は、早めに予約を締め切って余裕のある状態にするか(当日空港で普通運賃でも乗りたい人が多いかもな〜とか)、オーバーブック気味に予約を取っていくか決めていきます。
航空会社は「事前予約が100%を下回っている場合は、空港でキャンセル待ちの人を乗せる」ことで100%にして利率を保つことができますし、「事前予約が100%を上回っている場合は、空港で手続きをしてみて本当に100%を超えてしまったら優先順位が下の人から交渉して降りてもらう」ことで100%にして飛ぶことができます。
現在の航空会社は、以前の大型機でバンバン飛ぶというより、毎回ギリギリの人数が乗る小型の飛行機を使用する傾向にありますし、空席=赤字でしかないのです。
自分で予約したのに空港に現れないことなんてあるの?
結論として
「YES」
です。
これは実際私が旅行会社にいたときに起こった事件なのですが、ある日1人のフィリピン人の女性がマニラまでの航空券を予約しにきました。
うちの会社では航空券+発券手数料で6万円ほどだったのですが、地方の小さな旅行代理店ということもあり、このとき申込金だけをもらっていました。(おそらく5,000円か10,000円くらい?)
格安航空券の場合予約後3日後までに発券(発券するとキャンセルはできない)なので、そのまま発券をしてEチケットを準備していたのですが1週間前になっても一向にその方は現れず、自宅まで行っても留守。結果的にEチケットは渡せず、残金の回収できず、その方は空港にも現れませんでした。(もちろん会社で始末書を書かされましたw)
また、もう一つの事件といえばあるファミリーが夏に沖縄旅行に行く予約をして、予定通り出発していきました。
出発当日の朝、会社に1本の電話が、、、その家族の奥さん。何があったのかと思うと、「あの!今日出発で今もう出てるんですけど、高速道路が事故渋滞で全然進まないんです!飛行機間に合わないかもしれないんですが、どうしたらいいでしょうか?!」と切羽詰まってました。
これは、国内線なのでまだいいですが、夏なので振替してもらえるかは旅行会社の一存では決められません。
ひとまず、主催している旅行会社の空港デスクへ電話し航空会社へ伝えてもらいました。
その日の午後、再度電話すると「結局、予約した便には乗れなかったけど、どうにか最終便へ振替してもらうことできました」とのこと。
(この話を聞いてから、空港へは十分すぎるほどの時間を取って向かってくださいねと念押しするようになりました。)
ちなみに、このように航空会社へ時間になっても現れないことはノーショー(NO SHOW)といいます。
オーバーブッキングが起きた時は何が起こる?
ホテルの場合
ホテルでオーバーブッキングが起こった場合、多くの場合上のカテゴリーの部屋にアップグレードされることがほとんどです。
「お部屋が空いていたので、アップグレードしておきました」というのは、大抵一番下のカテゴリーの部屋がオーバーブッキングしている場合にこうなることがあります。
もちろん、それだけではなく「本当に上のカテゴリーの部屋が空いていた」場合や「リピーターなので、お得意様として扱ってくれた」等もあると思います。
全室満室!となってしまっている場合でも普段使われていない部屋を解放したりして泊まれる場合もありますが、本当に部屋がない場合は同グレードの違うホテルへ案内される場合もあります。
例えば、台風が続いている場合や何かしらの理由で足止めされているお客さんがたくさんいる場合にはすでにオーバーブッキング気味になっていることも多いですので注意が必要です。
飛行機や船の場合
飛行機や船の場合も、同じく上のクラスへアップグレードされていることがあります。
それでも、根本的に乗せられない場合には「空港内で使えるバウチャー券(金券)」がもらえたり「次の便のビジネスクラス」で出発してもらえないかとお願いされることもあります。
また、翌日の便になる場合は「上記のお願い+空港近くのホテル」も手配してくれてお願いされることもあります。
今回のニュースは、色々な「お願い」があったけど誰も降りようとしませんでした。
その場合は、最終手段として「無作為な抽選」で選ばれるようです・・・納得できるかい!ということになりますが、全員でじゃんけん大会をするわけにもいかないので、こうするしかないのだと思います。
オーバーブッキングするのやめればいいじゃん!
ここまでくると、そんなに問題が起きるなら「オーバーブッキングするのやめればいいじゃん!」と思う方も多いと思います。
そうすると、航空券の代金は今よりもっと高くなるようです。
100%乗れる人しか予約できないということにすると、格安航空券は出せなくなります。
また、全てが格安航空券並の値段では全く採算が取れないので、空席ができてしまうようなら普通運賃価格で乗ってもらわないと困るので価格は高くなってしまいます。
それでは、今の時代にそぐわないビジネスモデルなので航空業界は破滅してしまうかもしれませんよね。
今回の騒動では対応に問題があったとは思いますが、その仕組みを解決する方法はまだないようでです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、ユナイテッド航空でオーバーブッキングで乗客が引きづり降ろされた件をうけて、旅行業界で起きるオーバーブッキングについて書いてみました。
今度、オーバーブッキングしたときに降ろされないために準備しておける対処法を考えてみようと思います。
ちなみに、来月の母との旅行もユナイテッド航空、お世話になる予定なのでちょっと不安になりました( ゚д゚)
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