てるみくらぶ倒産から一夜、まだ何も終わってない!元旅行会社社員が、一体何が問題だったのかをまとめる
- 投稿日: 2017/03/28
- 更新日: 2018/09/01

こんにちは、実は先週風邪をこじらせていましたカワウソです。
てるみくらぶ倒産から一夜、会見の様子を改めて見るとイライラが止まらないです。
直接の被害はないけど、人ごとじゃないし、許せない。
私も1日に2回くらい色々情報を検索して、何か新しい情報がないか探しています。
また、昨日書いた記事が、たくさんの人に読んでいただけています。
被害にあった方が、少しでも良い解決法が見つかって、最小限の被害で済むように願っています。
さて、本日はてるみくらぶ倒産から一夜、会見の内容から抜粋すると見えてくる、てるみくらぶという会社の問題と、私が個人的に思う旅行業界全体の問題点をまとめてみたいと思います。
ちょっと批判的な意見もありますので、個人の見解としてご覧ください。
てるみくらぶの会見を見直してみる
【問題点1】てるみくらぶ元社長の山田千賀子氏

Q.財務内容が悪化したというところの理由は。
社長「一昨年の春から新聞広告を打ち出しまして、一言でいうと媒体コスト、経費がかかり過ぎということで、それが一番の要因だと思っている。」
弁護士「旅行業はインターネットが非常に発達する中で、旅行会社だけでなくダイレクトに予約するお客さんが増えてくる。そういう中で旅行業として従来のような売上規模が維持できなくなる。そういう中で新しいことを試みられたということは、新聞広告と媒体を使われた。当然広告費用がかかってくるので、そういったことをしても黒字回復に至らずに、結果として資金繰り、財務内容が悪化していったと認識している。細かいことは破産管財人でも調査すると認識している。」
会見の後半では、
Q.赤字だったので黒字回復に、新聞広告に出た。
社長「そうではありません。インターネットの商売からシニアマーケットへのビジネスに転換するため、全くお客さんの違う商売を始めたということなんです。」
弁護士「財務内容が悪かった、調査の過程で明らかになる。直でやる人が多くなっている。広告がかかったのもそうでしょう。あとは単価、仕入れがそれなりに高く、黒字化すると商品が高くってしまう、商品を下げると利幅が厳しくなる。そういった複合な要因に苦しんでいたという認識。」
まず、このやりとりから分かる通り山田千賀子氏って異常な経営者だったんじゃないかって思うんです。
むしろ、会社であれば費用対効果を検証しなかったのか?それぞれの媒体で出している広告を効果検証する人っていなかったのか?マーケティングできる人はいたの?経理は何をやってたの?一昨日の春からならいつでも出稿辞められたでしょ?と疑問と怒りが波のように押し寄せます。
私のパートナーである♂カワウソも弱小の会社を経営してますが、こんな考えしてたらシバきますよ。それくらい理解できない。
しかも、山田千賀子氏で言っている事は結局「逃げ」でしかないと思います。
全国にある旅行会社、むしろ全世界にある会社は失笑してると思います。新聞広告がどうっていう話ではなく会社運営という根本的なところで。
これからはシニア層にも売っていこう→シニアはネットやらないし新聞広告だ!→赤字だっていう一連のマーケティング力、イマジネーション力のなさ。
ここ数年、シニアは目に見えてアクティブになり行動範囲が広がって、スマホやタブレットを使いこなし余暇の使い方も上手になったと思います。
そこにウン千万円をかけて新聞の広告を打っても(新聞の一面に広告を出すと2000万円とか3000万円とかかかるらしい)それをペイできるほど稼げなかったんじゃないかって思います。
前回のブログで書いたように、旅行は薄利多売です。
2000万円もの経費を捻出しようものなら最大手3社JTB/HIS/近畿日本ツーリスト(以下KNT)のようにペイできるほどの定員数の確保(必然的に送り込む人数が多ければ多いほど年間で安い仕入れになる)と、マネタイズするシュミレーションが必要になると思います。
それにこの弁護士、あたし嫌いです
「てるみくらぶの実態なんてしらないし、旅行に勝手に行った人も悪いし、全員に金も返ってこないよ」と言われているようで、不快でした。
第一、上の発言で言わせてもらうと
インターネットが普及してるのは旅行業だけじゃないし、時代の流れからしても一定の知識を持ってダイレクトに航空券とホテルを予約する人が増えるのは当然だし、旅行に行きやすくなる(単純に旅行する人が増える)という観点から見ると利点ですよ?
そこから旅行者が求めている商品やサービスを提供できずに、新聞広告に頼ったのはあくまでもてるみくらぶの経営判断の責任。それを時代とか消費者のせいにしないで欲しいなって思います。
【問題点2】本当に、安い=悪いこと?

インターネットが急速に進んで、LCCの登場やら、ホテルサイトでもベストレート保証等が多くなり、旅行の価格感とか、求めているものがどんどん変化していっていると思います。
だからこそ、旅行商品が安い=粗悪というのは間違っていると思います。
安いけど、いい旅行を作って、満足のいく旅行を作っている会社もたくさんあります。
それに、旅行って「お金」という点でいうと、ファーストクラスに乗って送迎をリムジンとかヘリにしてホテルは1泊100万円にしてーとか言ってたら上を見ればキリがないし、安くしようと思ったらLCC乗ってユースホステルとかバックパッカーホテルとか泊まれば、うーーーんと安く行けるんです。同じ場所でも。
「安い旅行に行くからこうなるんだ」って言う人、twitterとかで叩いてる人もいますけど、安いって人それぞれだし、韓国3日間2万円だとしても毎日節約して貯めたお金かもしれないんです。その旅行に色々な目的とかやりたい事とかあると思うし、被害者を責めるのはやめませんか?
責めるべきは、赤字でも広告を打ちまくり旅行を必要以上に安くして、旅行の市場価格自体を混乱させたてるみくらぶときちんとした箇所にお金をかけられなかった山田千賀子氏にあると思います。
そもそも、なぜこんなに山田千賀子氏を責めるかと言うと破産しても山田千賀子氏個人には痛くもかゆくもないであろうと思うからです。
負債はあくまでも会社のもの、ある法律相談の記事では「裁判所にて審議の結果『破産決定』の判決が出たらその時点で「倒産確定」となり、残された負債(借金)は全て免責という形でチャラになります。」と書かれていました。
それで、色々な人から振り込まれた金額はなかった事になってしまうなんて、せめてそこだけはどうにかならないかと思うばかりです。
【問題点3】はたして詐欺か、詐欺じゃないのか?旅行業法は?
Q.一括入金キャンペーンということが書いてあり、一般の消費者は経営状態が悪いにも関わらずキャッシュを集めていたのではないかという見方をしている。
社長「全くそんなことはなくて、とにかくIATAがだめになったとしても、とにかく最後の最後までスポンサーの人、銀行の人とかけあって、きょうこのような状態になり、このような結果を招くととにかく全く考えていなかった。とにかく生きることしか考えてなかった。お客様に当然ですが無事飛んでいただいている。そのようなこと、それこそ本当に考えたことはない。」
弁護士「23日まで会社はいろんなスポンサー、金融機関と交渉。23日夜にIATAが払えないと、どうしますかということで24日以降方策を考えたということ。その時点でそれ以外の意図を持っていたとは聞いていない。」
会見の後半では、
Q.利用者からすると、振り込んだのにチケットも出ないしそもそも旅行に行けないという方がこれだけいらっしゃるのは詐欺じゃないかとの声もある。
社長「本当に申し訳ないと思っておりますが、詐欺を働くとかそういうことは最初から毛頭考えていない。お客様に安くて良い商品をと思って、ずっと何十年もやってきまして、(弁護士に対して)銀行のことは言ってはだめですか…すいません。とにかく最後の最後まで、23日のIATAの支払いも目処が付いたと思っていた所、事情により22日の夕方、それがだめになったということがわかって、そこから23日の支払いの時間まで努力してきましたけれども結局届かず、IATAのデフォルトをしたところで噂が全部広がってしまって、取引先が受けてくれなくなって、どんどん悪くなってしまった。そういうことでございます。」
そもそも、この質問に対しての答えとしては全然答えになっていないと思います。(質問した記者さんにも、もう少し突っ込んでほしかった;)
支払った被害者からすると「だから何?」って感じだと思いますよ?それで理解できると思いますか?
故意だと犯罪者になってしまうから「そんな気はありません!」と言っているようにしか見えない。
「結局奔走してたのは自分が生き残る(社長として座しつづける)ためじゃねぇかよぉおおおぉぉぉぉ」と思うのは当然。
もちろん今までてるみくらぶの評判が悪かったにせよ、ちゃんと旅行の対価として旅行を実施して、大きなトラブルもなく無事に帰還させて来ているから、ちゃんと一定数の評価とリピーターは獲得している会社なのは認めます。
でも、それは当然。むしろ価格以上のベネフィット(お金のかかる特典とかじゃなくても、人と人との繋がりとか出発までのケアとか現地係員とのコミュニケーションとかでも満足させることは可能)を与えるのがツアーを組む旅行会社も目指すべきところだと思うので、山田千賀子氏ってそこ勘違いしてないか?って思います。
だから計画的にキャッシュを集めているかどうかという事には全く関係ないし、やっぱり誰が見ても詐欺じゃん?って思ってしまう。
ちなみに今日の昼に見たテレビで「この件を詐欺として立件するのは難しい」というものを見ました。法律上だと、「銀行と掛け合った」とか「一生懸命奔走した姿勢」があったと言われれば、それを詐欺罪です!とは問えないらしいのです。
WHAT THE FxxK??!?!!という話ですよ。
そもそも、そうなると一生懸命やっていれば何をやってもいいのか?と疑問符がつくんです。刑法のことは詳しくないけれど、旅行業法には違反してるでしょ?って思いました。
旅行業法では、一番最初に
この法律は、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、あわせて旅行業等を営む者の業務の適正な運営を確保するとともに、その組織する団体の適正な活動を促進することにより、旅行業務に関する取引の公正の維持、旅行の安全の確保及び旅行者の利便の増進を図ることを目的とする。
と書かれています。
内容にも、旅行者を守るための法律が多々あり、
「旅行業者は、企画旅行を実施する場合においては、旅行者に対する運送等サービスの確実な提供、旅行に関する計画の変更を必要とする事由が生じた場合における代替サービスの手配その他の当該企画旅行の円滑な実施を確保するため国土交通省令で定める措置を講じなければならない。」
とかあるんです。それでも、倒産したらそもそもの前提を覆して「何も出来ません」でいいのか?!と旅行業法全無視でいいの?って思うんです。
これを見た法律家の人、詐欺罪って本当に立証できないのか教えてください(笑)
いづれにせよ、このような倒産に巻き込まれた人を救えない法律なら、存在するに値するのか、見直す必要はないのか疑問です。
【問題点4】現在旅行という名の苦行に出発してしまった人への対応
Q.行ってしまっている人は自分たちでなんとかする必要がある。
弁護士「そういうことです。」
この弁護士め。。。よくもそんな事が言えるな!自分の子供や親戚が旅行していても同じ事が言えるか?!とため息が出ました。
現地の言葉がわかる人(少なくとも英語が話せたり)、一度でも海外に行った事がある人、渡航先に友達がいる人、家族に連絡が取れる人等はまだいいかもしれません。
でも、仮に本当に現地の言葉もわからなく、初めての海外旅行で、誰にも連絡とれなくて、てクレジットカードもろくに持ってない人が海外で取り残されたらどうなるでしょうか。
現地の日本大使館も協力をしてくれるようなので、きっとなんとかなるかもしれないですが、結果的に追加でホテルや航空券・送迎を手配した事は事実です。
もしかすると海外旅行保険に入ってるから、、、と思っている人もいるかもしれませんが、「海外旅行保険」では、このような、ツアー催行会社の倒産等では何も保証してくれません。
この、旅行保険の商品見直しも今後進めたほうがいいのではと思います。
もっとも悪影響な事は、今旅行に行った人や騒動を見た人が「もう絶対に旅行会社には頼まない!」とか「海外旅行なんていいもんじゃない!」とか「安さを売りにした旅行会社は全て悪だ!」とマイナスイメージをずっと持たれてしまう事です。
それだけは本当に悲しい。
旅行(特に海外旅行というものは)トラブルあり、国民性の違いにイラつき、食文化に苦悩し、体調を崩す事も多々ありますが、同時に人のおおらかさに自分の悩んでいたものの小ささや、大陸の大きさに自分の視界の狭さに気づいたり、現地での体験から新たな目標や夢を見出したり、日本にいたら絶対に食べられないような美味しい食事に出会えたり、一生忘れられない出会いや思い出ができたり、多かれ少なかれ日本という国の小ささや日本の良さに気づく事ができます。
だからこそ、旅行文化は発展して趣味となって、ある人には仕事になるんだと思うと、今回の事でめげないで旅行に行って欲しいなと本当に思います。

ちなみに、全文はカワウソご用達、トラベルメディア「トライシー」で確認できます。
メディアよ、この問題は報道して終わりではない
最後に「少年よ、大志を抱け」的な言い方になりましたが、てるみくらぶの問題は当初そこまでテレビでは報道されませんでした。
正確な情報が掴めなかったからかもしれません。Twitterでは、朝のニュースや昼頃のワイドショーなどはDMで取材依頼をしていたようですが、、、
とにかく、ほとんど今週から「てるみくらぶが倒産しました」というニュースが流れるようになりました。
一つ言いたいのは、TVもネットニュースも報道したら一様に「許せない、申込者がかわいそう」とか色々あるけど、報道して終わりにしないでほしいです。
初回の放送では、みんながそのニュースを知っただけだからなんの問題解決になっていないと思います。
むしろテレビやネットの力を使って、問題を追い続けてほしいと願っています。
倒産して終わり、旅行者が帰ってきて終わりじゃない、弁済が済んだから終わりじゃない、制度も含めて見直しの時期が来たんじゃないかと思います。
それではまた次回!
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